洗車とコーティングに役立つ知識

ディーラーコーティングのメリットとデメリット詳細解説

ディーラーコーティングとはどういうものなのか

ディーラーコーティングはこんな方におすすめ(イラスト)

本記事では、1987年創業、カーコーティング専業一筋30余年、新車中古車の施工台数は20,000台超という経験の東京の車コーティング専門店を営む及川が、これまで頂いたお客様からの情報や、同業界における経験に基づく知識を踏まえ、「ディーラーのコーティングはどういう方におすすめか」「ディーラーのコーティングのメリットやデメリット」について紹介させていただきます。

ディーラーコーティングは、下記の方におすすめです

こんな方におすすめ

  • どちらかと言えば、質より利便性を重視
  • 納車される際には、コーティングが終わっている状態を希望
  • コーティング以外に関しても相談できる、納車後のフォロー体制を重視したい

ディーラーコーティングの契約から納車引き渡しはどのような流れか

ディーラーのボディコーティング施工は、主に納車前の新車への作業となります。基本的に塗装が劣化していたり汚れがこびりついたりしている経年車とは違うので作業手順は簡略化される傾向にあります。

車両洗浄:表面の大まかな汚れを洗い流した後に、シャンプーを使って細かな汚れを浮かせて洗い流します。

表面処理:新車をディーラーでコーティング行う場合は車の表面に固着した鉄粉やウォータースポットなどを取り除く処理が施されることがあります。コンパウンド磨き行わずに溶剤処理ですませる場合もあります。
※表面処理に関しては、新車の状態や施工する外注業者や内製作業車によって施工方法は異なる場合があります。

コーティング施工:ディーラー各社で選ばれた液剤を施工します。多くの場合は硬化のための加熱乾燥処理は行われず自然乾燥になります。

説明と引き渡し:施工後納車時にはディーラーの営業担当者が施工内容やアフターケアについて説明し、車両をオーナーに引き渡します。

以上がディーラーでカーコーティングを施工する流れとなります。

ディーラーコーティングは新車購入時に有償オプションとして契約されることが一般的です。施工内容や使用されるコーティング剤についてはそれぞれのディーラーにより大きく異なるので、コーティング効果や保証内容などは購入契約前によく確認することがとても大切です。

コーティングの種類

ポリマー系コーティング

ポリマー系コーティングはフッ素やシリコンなどの化合物を使用したコーティングです。ワックスよりも耐久性、光沢が高く雨で弱ってしまう事がワックスよりは少ないです。

ディーラーで施工する場合の多くは数時間で完了できるので気軽なコーティングと言えます。

ただし、ワックスよりは長持ちするとは言え、約2ヶ月から3ヶ月程度で劣化してくることから、その場合は洗車して劣化した部分を取り除いて新しく塗り直す必要があります。

ガラス系コーティング

ガラス系コーティングは、ポリマー系コーティングにガラス繊維が含まれているものから様々な種類が存在します。ガラス成分が含まれていることで、耐候性や耐熱性の向上、被膜の劣化を防ぐなどの効果があり、6ヶ月から3年程度はコーティング被膜が持続します。

ワックスやポリマー系コーティングよりも光沢や艶出しに優れていますが、液剤メーカーにより耐久期間や撥水や疏水系など乱立しています。

ガラスコーティング

ガラスコーティング は塗装の表面をガラス質の被膜で覆うコーティングです。特徴としては、汚れが落ちやすく、カーコーティングの中では高めな強度を持ちます。しかし、施工をディーラーに依頼すると、数万円から数十万円と費用が高額になります。

ガラスコーティングは施工が比較的難しく、施工の際には手間のかかる下地処理を必要とすることから、ガラスコーティングはディーラーよりも専門店での施工がオススメです。

セラミックコーティング

こちらはディーラーでの扱いはほぼないと言って良いくらいです。ガラスコーティングよりも高性能を施工されたい場合は車のコーティング専門店での施工しか出来ません。

それぞれのメリットデメリット

 

 ポリマー系
フッ素系等
ガラス系
コーティング
ガラス
コーティング
寿命~1年6ヶ月~3年3~5年
輝き
汚れの付きにくさ
価格5〜10万10〜28万15〜35万

※金額はディーラーにより大きくばらつきが有りますので注意が必要です。セラミックコーティングを扱うディーラーはほとんどありません。

ディーラーコーティングの質はよいのか?

ディーラーコーティングの質は良いのか?(イラスト)

ディーラーコーティングの質はよくない

ディーラーでのコーティングは、質に関しては、決して良いとは言えないと思います。

理由は2つあります。

1つ目は、施工技術レベルのムラにあります。ディーラーでのコーティングは、①外部に委託、もしくは②社内のコーティング部隊が施工することになります。

ディーラーによっては、完全に外部に委託することもあれば、完全内製化もあり、ディーラーによって異なります。

①に関して、磨き屋さんに外部委託であれば一見よさそうですが、売上のディーラー取り分は大きいため、磨き屋さんの原価を除く利益はすごく少ないです。

そのような構造がある中で、磨き屋さんはどこまで時間を使い、良い下地処理やコーティング剤を使用するでしょうか??

また、②の社内でのコーティングも、コーティング専属部隊を設けているところもあれば、修理担当が兼任でコーティング施工しているディーラーもあります。

コーティング部隊は、営業や修理などからの部署異動はもちろんあるので、コーティング歴の短い人も中にはいます。

そのため施工技術レベルがわからないため、質が担保できないリスクがあると思います。

2つ目は、使用しているコーティング剤が完全無機質のガラスではなく、ガラス系を使用していることにあります。

ガラス系コーティングは、フッ素やテフロンなどのポリマーコーティングにガラス繊維を含んだコーティングになります。

ガラス系のほうが施工しやすいのですが、耐久性が完全無機質のガラスコーティングに比べ悪いというデメリットがあります。

ディーラーでのコーティング施工はガラス系が多くなるので、耐久性は専門店に劣るかと思います

以上施工レベルの質、そしてコーティング剤のレベルにより、コーティングの質は決して良いとは言えないと思います。

質の割に高価

ディーラーでのコーティングにかかる金額は、新しいメニューが出るたびに値上がりしている傾向にあり、だいたい5万円〜35万程度になっています。

値引きの交渉材料として、コーティングが使用されるケースもありますが、高級車におけるコーティングなどは40万近くするため、質のわりに高額と言えるでしょう。

利便性が一番のメリット

使い勝手の良さは、ディーラーコーティングの一番のメリットかと思います。

待望の納車時には最高の状態で車がオーナーを出迎えてくれる、これはすごい嬉しいですよね。

専門店等でやる場合となると、ディーラーで納車→専門店店舗に持っていってコーティング施工という流れになるため、そんなの大変、待ちきれない!という人はディーラーコーティング向けかと思います。

ディーラーコーティングは誰が行う?

専門店とかと違いディーラーコーティングは外注業者、もしくは社内内製化されて元営業マンとか整備士が行うことも有ります。その点まともな専門店では専任の担当者が責任を持って行うのでディーラーより安心です。

その効果は?

ディーラーコーティングの多くは「ガラス系コーティング」なので本物の「ガラスコーティング」や専門店が最近取り入れて実績を積んでいる「セラミックコーティング」が優位に立ちます。

最大の効果を望む方は専門店でのセラミックコーティング、そこそこの美しさと利便性がお好みでしたらディーラーコーティングが良いです。

ディーラーコーティングのコスパは良いのか?

作業時間から逆算しますと2〜3時間から半日で仕上がるディーラーコーティングは作業内容(下地処理がない場合があったりチープな施工環境)も含め専門店のコーティングよりも1時間あたりの単価は高額になりがちです。

しっかりとした施工内容と作業時間と効果に見合っている専門店と比べるとコスパは悪いという結果になります。

この場合はディーラーコーティングはしないでください

下記の場合はディーラーコーティングはしない方が良い(イラスト)

値引き対象の為のコーティングはオススメしない

新車購入時の最終段階での値引き交渉で現金での値引きに応じず「ボディコーティング」を値引きされる多くの場合は

「コーティング半額で」とか

「コーティングを無料で」など

値引き材料に使われますがその際のコーティングは外注で行っているディーラーの場合は外注費ギリギリのところで行われますし、内製で行っている場合はチャチャッと仕上げになる場合があります(洗車してコーティング塗ってお終い・・・)

ということから値引き対象のボディコーティングは絶対にオススメしません

クロ系のボディ色にはオススメしない

クロ系のオーナーが思われること「キレイに維持したい!!」そういう方々のコーティング希望率はとても高く、お目も高いので傷等がよく見えます。

そういう事をディーラーの営業マンはよく知っているのでクロ系のいわゆる「うるさ型」オーナーにはディーラーコーティングはおすすめしません。

何故でしょうか?

営業マン自らが「うちのコーティングはあまり良くないので専門店でのコーティングが良いですよ!」と良い人のふりをされるというお話を当社のお客さまより何百件も聞いています。

要するにうるさそうな客と濃色車のユーザーの新車にはおすすめしないと言うことなのです。

変に勧めておいてクレームになる事を恐れていますからおすすめしません。逆にいえば、白系のボディ色をやりたがるということはテキトーに施工されてしまう?なんてことも考えてしまいますよね。余談ですが。

ディーラーコーティングは外車と国産車の内容はどうなっている?

国産車と外車でのディーラーコーティングの違いは?

国産車と外車の納車までの大きな違いは製造から納入経路の違い、塗料メーカーの違いが主です。

国産車の納車までの流れは、メーカー→ディーラー→オーナー

輸入車の納車までの流れは(例えばPORSCHE)メーカー→海運(長期間の船)→日本の港→ディーラー→オーナー

上記が納入経路になります。

大きな違いは輸入車の場合は海運が途中に入り、1〜2ヶ月船に揺られてきます。その後PDIセンターというクルマの検査所に入り検査されますがその際に洗車や磨かれたりと言うことがあります。その際に多くの場合はササッと磨かれることが多く磨き痕が出たままになります。

その後各ディーラーに納入後洗車、磨き、ワックスやコーティングがされますが専門店レベルではないのでそのままコーティングというわけにはいかないのが実情となります。

その点国産車は新車の状態がそこそこよいので軽く洗車をして液剤を塗布して拭き上げておしまいというのが多く、下地調整はほとんどありません。

いずれにしても外車は確実に下地磨き作業が必要になります。国産車でも濃色車は特に高度な技術を持った専門店レベルじゃないと厳しい結果になるでしょう。

ディーラーコーティングの口コミは?

ディーラーコーティングの口コミは?(イラスト)

ディーラーのボディコーティングの評判・口コミ

ディーラーのコーティングを施工した方々の実際の評判や口コミを見ていきたいと思います。

納車時にトヨタでガードコスメコーティングを施してもらいました。納車時にコーティングするのは初めてです。前車のプリウスαでは、キーパーコーティングをしましたが既にイオンデポジットが出来ており近づくとウロコがハッキリ見えて嫌でした。メンテナンス剤も付いているので定期メンテすれば長持ちするとの事でした^_^

引用元:みんカラ

納車前に5イヤーズコート施工済みですが
サイドは良いですが、ルーフとボンネットは汚れやすく
あまり効果が無いような?
線路に近いのですが鉄粉がてるてる坊主のように
尾を引いてる感じ
付属のシャンプーでは落ちにくく
市販メンテナンス剤を使用しないと綺麗になりません。

引用元:みんカラ

 

正確には「ダブルG」ではなく、最新の「ダブルGN」になります。
納車約2週間後に手洗い洗車してみましたが、セット品のシャンプーだけで簡単に汚れは落ちました。
これがコーティングの効果なのかは分かりませんが、撥水は半端ない感じです。

引用元:みんカラ

皆様の駐車環境や洗車環境ははそれぞれですが

拘りがそこそこの方達やコーティングが初めてという方々の評判や口コミは概ね良好ですが専門店での経験がある方や拘りのある方には満足できない口コミがまずまず口コミではありました。

 

ディーラーコーティング後のメンテナンスは必要

まめな洗車

コーティング施工後は汚れたらまめに洗車をしましょう。定期的に洗車をすることによりコーティング層上部によごれを堆積させないので傷みが少なくなります。汚れたままにして撥水阻害成分が固着すると汚れやすくなりますので、屋外駐車の場合の洗車は月2回程度の洗車が理想です。

納車時に渡されるメンテナンスキットを使う

ほとんどの場合ディーラーコーティングを施工後にメンテナンスキットを無償もしくは有償でついてきます。このメンテナンスキットを利用してして2~3カ月に一度はメンテナンスをすることにより、コーティング層上部に付着した軽微な汚れを落とすことができますのでコーティングの寿命が長くなります。

ディーラーによるメンテナンス

有償でコーティングメンテナンスを行ってくれるディーラーもあります。

専用のクリーナーを使用してコーティング層の最上部に付着した汚れを除去するため、コーティング最上層をキレイな状態に戻すことが可能となります。各ディーラーのコーティングを施工する前に、メンテナンスなどのアフターフォローがあるのか確認されると良いと思います。

ディーラーコーティングと専門店の違い

ディーラーコーティングと専門店コーティングの違いの写真

使用するコーティング剤が大きく違う

ディーラーで使用するコーティング材はいわゆる汎用品で、一般ユーザーでも施工が出来るものもあります。中には施工業者なのか誰なのか分かりませんがヤフオクなどに多く出されている物を購入して施工されているようです。

専門店で使用するコーティング材はプロフェッショナル専門の扱いの液剤ですので艶、寿命、汚れの付きにくさなどが違います。また施工が難しく施工環境がシビアなセラミックコーティングの扱いは専門店だけとなります。

専門店がカーコーティングの技術力に優れている

コーティング専門店では技術を売りにしているサービスのためもちろんですが施工品質や仕上がり感が高いのです。取扱の車種も種々様々の世界中の車種を扱います。そのために様々な状況のクルマの状態を把握し施工技術が高いので仕上がりはディーラーに比べて高いのです。

ディーーラーではその販売している車種しか施工しませんのでテクニカル的にも応用が出来ませんので適応能力はコーティング専門店に分があります。

反面ディーラーコーティングの強みは同じ車種ばかり日々扱いますので強みと弱点を把握している作業車がいるかもしれないところです。

コーティング施工後の乾燥作業で効果効能を向上

本来コーティング施工後は乾燥を促進させるために遠赤外線、近赤外線、カーボンヒーターなどを使い強制乾燥をさせます。

しかし多くのディーラーコーティング施工後は自然乾燥が主流です。

強制乾燥をすると何のメリットがあるのか?

それはまず納車後の初期トラブルが極端に減ります。また光沢や撥水性能や耐久性が向上するのです。

ですのでディーラーコーティングよりも仕上がり感や効果、寿命が長めのなるため新車のコーティングをするならコーティング専門店がおすすめです。

コーティング施工後のアフターフォローの有無

カーコーティングが完了して納車後のメンテナンスの有無ですが、ディーラーのほとんどは扱い液剤メーカーのお仕着せのメンテナンス液剤等を渡されて自分でメンテナンスをしなくてはいけないのです。

コーティング専門店ではユーザーメンテが出来る簡易メンテナンス剤や専門店で行うメンテナンスメニューがプランとして(有償)様々ありますので、長くキレイを維持する事が可能になります。

豊富なメンテナンス作業が出来る専門店や柔軟に対応が出来るディーラーがあれば良いかもしれません。

まとめ

今回の記事では、ディーラーコーティングについて解説いたしました。

ディーラーでのコーティングは、納車時に完了していてワンストップで納車ができるというメリットがある一方、デメリットとして、効果効能や施工環境が専門店のコーティングに比べ低い傾向にあることをお伝えさせていただきました。

品質と価格の両方にこだわりたいなら、経験豊富な専門スタッフがいるお店で施工することをおすすめします。

専門店の熟練の施工内容のコーティングをご希望の場合は専門店に依頼することで、アフターフォローや、使用するコーティングの性能効果効能が高いためおすすめです。

しかし、ディーラーコーティングに比べ費用は若干高い傾向です、ご予算と求める効果効能や経験年数の多い熟練の技術で施工する場所を選びましょう。

 

  • この記事を書いた人
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及川勝一

車コーティング専門店『ポリッシュファクトリー』で、施工歴37年。

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