車の洗車をした後にふとボディをみると、丁寧に拭上げしたはずなのに、拭き残しによってできた水滴跡や水シミのようなものが気になったことはありませんか。
特に夏場の暑い日に洗車した日には水が乾いた跡が気になることも多いと思います。
このような悩みは「純水洗車」を行うことで簡単に解決できます。
本記事では、そもそも「純水とはどのような水なのか」や「純水器を使用した洗車メリット」、「純水洗車のやり方」などを、1987年創業「車のコーティング専門店ポリッシュファクトリー」の及川が解説します。
また、合わせて知っておきたい一般的な「洗車の頻度」について以下のページで解説しておりますので参考にしてください。
洗車頻度はどれが正しい?車コーティング専門店のプロが解説
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純水とは?水道水との違いは何?
純水と言えば読んで字の如く「純粋な水」と書きますので「不純物のない綺麗な水」とイメージする人も多いのではないでしょうか。
純水は綺麗な水であることは確かですが、水道水との違いは何?と聞かれてちゃんと答えられる人は少ないと思います。
そこでまず、純水とはどんな水を指すのか、水道水との違いは何か簡単に解説します。
純水=不純物が少なくて純度の高い水
(出所)【オルガノ株式会社】純水・超純水とはより、ポリッシュファクトリー作成
「純水」は厳密な定義はなく、一般的には電気抵抗率が0.1〜1.5MΩ・cmの水を指すようです。簡単に言えば塩類や有機物などがほとんど除去された状態です。
また「純水」の中でも不純物の除去の方法によって脱塩水(イオン交換樹脂等により塩類を除去)と呼んだり、蒸留水(水蒸気を冷却して液体化した水)と呼んだりします。
純水よりさらに不純物が少ない状態の水を「超純水」といいます。参考程度に覚えておきましょう。
純水と水道水の違いは大きく3つ
純水(超純水を含む)と水道水の違いは大きく3点あります。それぞれを見ていきます。
不純物量
まずわかりやすい違いが「不純物の量」です。不純物はイオン類や有機物を指しますが「水道水 < 純水 < 超純水」の順に不純物の量が減っていくのが特徴です。
電気抵抗率(電気の流れにくさ)
続いて「電気抵抗率」も異なります。電気抵抗率とは電気の流れにくさを指しますが、水道水→純水→超純水につれて数値が小さくなるため、電流が流れにくくなるということになります。
ものを溶かす力
純水は水道水に比べ不純物が少ない分、「ものを溶かす力」が強いという特徴もあります。
水道水に比べて物を溶かす力が強いため、軽い力でも汚れが落ちやすいといった特徴があります
純水洗車はメリットしかない!3つのメリット
純水器洗車のデメリットは正直ありません。純水器の購入の費用はかかりますが、それを除きメリットだらけと言えるでしょう。
以下の3点が挙げられます。詳しく見ていきましょう。
水シミやイオンデポジットができにくい
純水器を使った洗車をすることで得られる最大のメリットは「水シミ」になりにくいことです。
水道水には不純物(ミネラルや塩素系消毒剤など)が多く含まれており、洗車後に水分のみが蒸発しミネラル分が残ることで水シミとなってしまいます。
夏などの暑い時期はテキパキと洗車しているつもりでも洗車中に水道水の水滴が乾きシミになってしまうということはよく起こりがちです。
また、綺麗に拭き上げたつもりでもパネルの隙間などから水が垂れ、その水が乾いて跡となって残ってしまったということもよく耳にします。
上記のような事例は起こりがちなミスですが、洗車時のすすぎを「水道水」から「純水」に変えることでリスクが最小限になります。
使い続ければツヤが向上する
不純物の少ない純水を使った洗車をすることで「ツヤ」が上がるとはどういうことでしょうか。
当然ながら1回2回の洗車では気が付きにくいですが、洗車のたびに純水を使うことで純水の持つ「ものを溶かす力」によって塗装表面に不純物がつくのを防ぎます。
それが数十回と続けることでなんか「ツヤツヤしてる」という状態を作り出します。コーティングを施工した車の日々の洗車を純水洗車にするのはかなり効果が見込めます。
拭き上げ時に傷がつきにくい
前述しましたが、水道水は純水に比べて不純物の量が多いです。
水道水で洗車した場合は、どんなに良い拭き上げ用のマイクロファイバータオルを使用したとしても微量の不純物が原因でボディが傷ついてしまう可能性はあります。
純水にすれば傷がつかないということではありませんが、純水&高品質の洗車用のタオルで拭き取りを行えば傷を最小限にできることでしょう。
上記3つが純水洗車のメリットです。
純水洗車のやり方
では純水洗車はどうやれば良いのでしょうか。
ご家庭で純水を作り出すことは極めて難しいので、市販されている「純水器」を使用することになります。
純水器は業務用でなければ1~2万円程度で購入できますし、洗車頻度にもよりますが、半年〜1年程度持つことも十分あり得ますのでそこまで高いものではありません。
当然ながらご自身で洗車しない方は、洗車専門店等で「純水洗車」を依頼することもできます。
純水器を使用する際は水道とシャワーホースの間に純水器を入れるだけです。純水器の中のイオン交換樹脂を水道水が通ることで純水となってホースから水が放出されるシンプルな作りです。
基本的には洗車時において常に純水を使用する必要はなく、最後のすすぎをしっかりと純水ですすぐことで前述したメリットが享受できます。
常に使用するとイオン交換樹脂の消耗も早いので真夏などの洗車時もすぐに乾いてしまう環境を除き最低限最終すすぎを純水で行うと覚えておきましょう。少しでも節約したい方にはおすすめです。
純水洗車「拭き上げ不要」ではなく必要!
純水器を探していると「拭き上げ不要」を謳っている商品を販売している業者を見かけます。
コーティング専門店を40年弱営んできましたポリッシュファクトリーの意見としましては「拭き上げは絶対必要!」です。
そもそも純水が不純物ゼロかというと違いますし、実際の洗車の際は屋外で洗車することも多くあると思います。
また、純水ですすいだとしても空気には不純物が間違いなくありますし、黄砂や花粉の時期は屋内の中まで一瞬ではいってきますので拭き上げをしないということはあまりのもリスクが高いです。
純水で流せば絶対水シミがつかないと考えるのではなく、あくまで水シミをつけるリスクを減らす道具として捉える方が良いでしょう。
洗車用純水器のおすすめは?
ご自身で純水器を使った洗車を行う場合におすすめの「純水器」はこれだ!というものは残念ながらありません。
というのも純水器の中身は「イオン交換樹脂」と呼ばれるものであり、この量によって基本的には純水を吐水できる量が決まります。
イオン交換樹脂の質の差はないと言っても良いくらいですので、純水器自体のデザイン性にこだわりのない方(私はありません)は、イオン交換樹脂が同一の場合は間違いなく値段が安い方を選ぶと良いでしょう。
イオン交換樹脂の量が異なる場合は1Lあたりのイオン交換樹脂の料金を算出し、比較してみるのも良い手段かと思います。
【まとめ】
本記事では「純水洗車」をテーマに解説しました。要点をまとめておきます。
まずは「純水とは何か」及び「水道水との違い」です。水道水との違いは以下3点です。
❶不純物量
❷電気抵抗率
❸ものを溶かす力
次に3つのメリットを紹介しました。
❶水シミやイオンデポジットが出来にくい
❷使い続ければ艶が向上する
❸拭き上げ時に傷がつきにくい
結論としては、デメリットはなく(購入費用を除き)、メリットが多くあるのでぜひ取り入れていただきたい洗車方法です。
純水器はお高いイメージの方も多いかもしれませんが、近年は1〜2万程度の良質な純水器も大手ECサイトで購入出来ます。イオン交換樹脂が同一量の場合はなるべく安い方を選び購入するのをお勧めします。
(購入の責任は負いませんのでご了承の上ご自身で購入ください)
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